七夕祭り

自転車の範囲内の商店街で、七夕祭りが開催中というので
行ってきた。
祭り好きとしては、夏に一度は祭りばやしを聴かないと
落ち着かない。
けど、今日のお祭りは七夕祭りで、祭りばやしはなかった。
いつもの商店街が、ずらーっと自分の店の前に自分の店の
食べ物や夜店的なものを出してるだけだった。

それでも楽しかったな。
ものすごい人出で、みんなずーらずーらと歩きながら、
ビールやらラムネやらを片手に、もう一方の手は大好きな
誰かと手をつないだり、腕を組んだり、団扇であおいだり、
チョリソーやチヂミや焼き鳥を口に運んだりしていた。
私はビールを片手に、大好きな人も仲がいい人も一緒に
いたわけじゃないので、イカ焼きと、"おじゃがちゃん"なる
じゃがいもに薄く衣をつけて丸ごとあげたのと、薩摩あげを
食べながら歩いた。
帰りにチヂミを買って、家で食べた。
ついでに八百屋さんでふつうにナスを買って帰った。

盆踊りなんて、ずいぶんと踊ってないな。
この夏の間に、どこかでちらっとでも遭遇できるといいな。
祭りばやしが聞こえて、太鼓がどんどん響いて、
子供たちが楽しそうな顔でわらわらと集まってくる。
それだけでなんだかうれしくなる。

慣れない下駄に足が痛くなったり、せっかくお父さんが
とってくれたヨーヨーなのに、ゴムが指からはずれて
地面に落ちて、小さな石の角にぶつかったのか割れて
しまって泣きだしたり、いくつも並んだリンゴ飴や
姫リンゴ飴のつやつやした色や、綿菓子の前を通るときの
熱くて甘い匂いや、金魚すくいの前はちょっと悲しくて
胸が痛くなるからなるべく早く歩いたりするときの、
夏の夜の柔らかくて気だるくていつまでもこの夢の中みたいな
不思議な時間が続きそうな気がする感じが好き。
だけど夜店の人込みからちょっとはずれて風にあたってる
ときの、夜の向こうから流れてくる花火の匂いが切なくて、
夏と離れがたいような寂しさがふと胸をよぎって思わず誰かの
手を強く握りたくなる感じも、もしかしたら好きだったのかも
しれない。

考えてみたら今日は立秋だから、もう、夏祭りじゃないのかな。