*[ニュース]疑問です。

 最近、アスベスト被害っていうのが問題になって
ますよね。クボタとか、ニチアスとか。
 けど、アスベストってとっくの昔に使用中止に
なったんじゃありませんでしたっけ。
 昔は小学校の壁やら天井やらに使われていたけど、
健康に被害を及ぼす危険性が高いと問題になって、
使用が禁止されたのだと思ってました。
 解体工事の現場の近くを通るときは、できる限り
息を止めて急ぎ足でそそくさと行く、という習慣
が身に付いたのも、そのニュースを聞いたからだと
思ってたんだけど。
 なんだかデジャビュというか、今回のニュースが
時代錯誤な気がして、逆に自分がタイムトラベラー
になったようなズレを感じたのでした。



*[映画]「ミリオンダラー・ベイビー」

 先週、「ミリオンダラー・ベイビー」をようやく
観ました。
 言わずと知れた、米アカデミー賞主要4部門受賞
のクリント・イーストウッドが監督した映画です。
 割と信頼のおける映画好きな方がよいと言ってい
たので、ちょい期待してました。

 まず映画館に入って、50代見当のオバサマ率が高
いことにびっくり。
 14:00くらいの回だったこともあるのでしょうが、
クリント・イーストウッド効果なのか。ダーティー
・ハリーにしびれた世代か?
 
 それはさておき、観たわけですが・・・・・・
 ここから先はネタバレありですので、未見の方、
ネタバレ嫌いな方は避けてくださいませ。


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 どうなんだろうなー。
 映画が始まってすぐ、テンポのゆるさに、まず、
あれ?と思う。
 ボクシング・ジムにカメラが入っていき、入り口
のデスクにもたれかかっていたモーガン・フリーマ
ン扮するスクラップが歩き始めるのだが、カメラが
きました、はい歩き始めます、な感じ。
 カメラがくるのを待っている姿まで映っている。
なぜ編集でどうにかしなかったのか。
 スクラップによるナレーションが味わい深い。
 が、時々、説明的。蛇足的。訴え気味。
 イーストウッドは見た目、老けていたが、それは
作りかなとも思ったが、老いは思わぬところに・・・?

 そんなこんなで話はゆったりと進んでいき、成功
譚に見えたと思いきや、例のテーマに突入。
 あの状況で、あれだけ本人が切望というか渇望し
ているのだから、その選択には賛成なのだが(本人
が自分でどうにかしようとする前に手を貸すのがよ
り親切ですよねと、宗教的逡巡のないワタクシは思
う)、その理由づけが釈然としなかった。

 スクラップは、"そのほうが彼女のためだったんだ
よ"と言う。それが彼女の幸せなんだと。彼女は最高
に幸せだったんだと。
 けどさー、本当に幸せだったんかい?

 プア・ホワイトに生まれ、とんでもなく貧しい中
で生きてきて、恋愛もせず(20代まではしたのかもし
れないけどね)、結婚もせず、家族にも理解されず。
 その中で、大好きなボクシングができたこと、し
かもそのボクシングで成功して大金を手に入れたこ
と、それより何よりボクシングを通してフランキー
と強い絆を築けたこと、そして家族を失ったも同然
のときに、フランキーだけはずっとそばにいてくれ
たこと。

 いい話、なのですよ。
 何が人生に於て大切か、を問うているのでしょうな。

 で、ワタクシ的には、どうなのよ、だったのです。

 夢をひとつだけ叶えることのできた、女。
 本気で叶えたかった夢をひとつ叶えられるなんて、
それはもう稀なことで、それはかなり幸せな人生で
はあると思う。
 けれど、孤独で、夢を叶えたが故に叶える夢を失
い、愚劣な相手と対戦したがために未来を失った女
の哀しい物語として物語られるのなら理解できるけ
ど、そこに甘さを加味されると、ワタクシは違和感
を覚える。

 ここで言う甘さとは、"彼女は幸せだったんだ"と
いうスクラップの思い。
 そう信じたいという切なさ、哀しさを含んでいる
のかもしれないけれど、もっとマシな人生だってあ
るわけだから。
 底辺から少し浮上できたことで、充分に幸せだと
思う心。
 その哀しさ? 切なさ? その大切さ?
 う〜ん。

 しかも、あのラスト。
 ワタクシには、大甘。
 ワタクシには、まだわからない。
 
 いい大人がみる甘い夢、は、ゆるさに感じられる。
 いい大人が甘い夢を見る哀しさに、共感は、まだ
できない。
 まだ、なのか、ずっと、なのか、できない、のか、
したくない、のかはわからないけれど。
 
 「サイドウエイ」を観て、ワタクシもこういう映
画がわかるようになっちゃったんだなあ、なんて思
ったものだが、まだまだ先は長い。
 つーか、ずっと自分にはわからないままのセンス
というのもあるのかもしれない。
 共感するしないは別として、なるほどそう感じる
人もいるのね、とわかることは増えていくわけだが、
そう感じる人もいるのねということすら理解できな
いセンスというものもあるのかもしれない。
 人間が小さいものですみません。

 ちなみに映画館で座っていた列で、最も泣いてい
たのは何を隠そうワタクシです。
 試合のとことかさー、たまんなかったな。
 母親に家を買ってあげたところとかもね。
 あと自殺幇助がテーマっていうのは知ってたので、
(誰が死を望む状況に陥るのかは知らず、ずっと
スクラップかフランキーかとドキドキしてた)
悲劇に向かっていくんだなあと、余計に泣けた。
 
 さらにちなみに。
 ひとつ椅子をあけた向こうに座っていた二人組の
オバサマは、エンドロールが始まるやいなや、
「サクセスストーリーかと思ってたのにねえ」
とよくとおる声で言い、出ていかれました。
 「マディソン郡の橋」を求めてたのかなー。

 「ライフ・アクアティック」についても書いて
おこうと思ったんだけど、長くなるので、ひとまず
ここで。

 「ミリオンダラー・ベイビー」、みなさんは
どのように思われましたか?