「ホテル・ルワンダ」

ようやく、観た。
主な感想は、多くの方と似たりよったりかと思われます。
ただ、作品としてどうかではなく映画としてどうか、となると、そう高い評価はしない。上映が決まるまでのなんやかんやの話題性がまったくなかったとして、みなさん、同じくらい"いい""いい"言うのだろうか。私の前の席に座っていた大学生と思しき男の子は、途中で寝ていたよ。ま、こういう実話ものの映画の場合は、何を描くか、が重要であり主であって、私の好きな(というか好き嫌いがはっきり表れる、つまりは作り手のセンスが如実に表れる)いかに描くか、は二の次とは言わないまでも従とはなるのでしょうから、あまり何も言わないほうがいいのでしょうか。

それからどうしても気になったのが、国連軍や米、仏、伊などの軍隊がいまに助けに来てくれる、という発想。もちろんあんなにひどい虐殺が行われているのだから、他の国が助けの手を差し伸べる必要はあるのでしょう。だけど、その助けの手は、この映画で描かれている情勢で言えば虐殺されていくツチ族を救うために差し伸べられるのでしょうが、いつ情勢が逆転して、こんどはツチ族フツ族に襲いかかるのかもしれない。となると、やはり私のような頭の悪い了見の狭い人間の胸には、その国のことはその国で治めなければ本当の解決にはならないのでは、という思いが去来するのです。
経済的に自立できず、食べるものも薬も圧倒的に足りなくて死んでいく子供たちを救うために他の国が援助をする。その援助で子供の命を助けることはできたとしても、その国が自立しない限り、また子供は飢え、病は蔓延し、他の国からの援助が必要になる。延々と、延々と、それは続くのではないかと思う。
その国の中での紛争も、やはりその国の歴史の中から生まれた紛争であるならば、自国内での解決をみない限り、延々、延々と繰り返される。のではないかと思う。
植民地時代の長かったルワンダは、そもそも自分たちでどうにかしようという発想は乏しく、力のある国に解決や助けを求めることを当たり前と思っている、という一文を読んだことがある。それなら当時の宗主国に責任がある? それはまああるのだろうし(でも、いつまで?)、ないとは言わないが、独立した限りは独立しようとしないといつまでたっても独立できないんじゃないかと思う。経済的にも国としても自立できるまでには、もちろん時間はかかるだろうけれど。国としてのシステムも、生活するための基盤づくりも、教育を受けることも、少なくとも3代くらいに亙らないと染み込まず難しいのでしょうけれど。奪われたものを取り戻し、新たに築いていくということは、本当に気の遠くなるような精神力を必要とするのだろうけれど。

そんなことを思って外に出ると、雨あがりの春の夜。怖いね、と言ってディナーに戻る。それが怖いことは忘れない。