宮沢章夫「サーチエンジン、システムクラッシュ」

いい、いい、と言う人が多いので、宮沢章夫の本を初めて読んだ。名前は見知っていたけれど、こういうことをしてきた人(大竹まこと好きなくせに)だとは知らなかった。さみしいですね、無知っていうのは。
で、とりあえず何から読もうと思って手に取ったのが、この本。読み始めて、ああ、と思った。もう好きにしてって感じ。私をどっかに連れてって。
望み通り、あちこち連れ回られたあげく、どこだっけ、終着点は。そもそもどっかに着いたんだっけ? 到着した? 結局、とか言える感じだったっけ。それにさ、あの赤いチョークは? あと、ウニオシ・・・だっけ? 違うか。なんだっけ、あの名前が人によって違ってるというかどうとでもなれるというか、記憶には残っても現実かどうかはわからないというか共同幻視というか、いやいや受講したじゃんというかとにかくあのゼミの先生はどうしたんだっけ。そもそも話の発端の捕まっちゃった人は、ほんとに人を殺したんだっけ。だから捕まったんだっけ? 赤? レッド。赤? レッド? ドア? メモ? 歩きかた。行き着く場所? 歩き方。コード。池袋。私にとってはIWGP?
そんな放り出され具合が気に入って、他の著書も読んだり読まなかったりな昨今。読み出すと止まらないんだけど、いったん本をおくと次に読み出すのはいつのことやら気まぐれな偶然次第という感じで、どしどし読むという体勢じゃない。一気にむさぼるように骨まで知りたい読みたい浸りたい、とはならないようで。さすがに私も自分の体質と相性とペースの乱され具合を知っているようで。

通学、あるいは通勤、という習慣をもたなくなってから、読書の時間は寝る前とお風呂の中と読書の時間になっていった。あとは、日曜日の雨。ここ2週間ほど晴れが続いていたから、数時間続けての読書というのがなかった。この間の雨音は、ほっとした。静かな時間が大切だった。しかも去年の冬からは、編み物という驚異のライバルが久々に復活。ま、編み物は相撲をみながらとかテレビをみながらってのが専らなので、ライバルとも言いきれないけれど。お風呂の中も読書独占(風呂読書は、正しくは読活字か。読むのは週刊誌とかさくさくコラムとか。キリのつきやすいものじゃないとのぼせます。もしくは冷える)
体力勝負のようなどっぷりな読書を久々にしてみたい。誰の何がいいだろう。年末年始、読みまくり計画。これ、逆に新鮮でいいかも。