「男と女2」byクロード・ルルーシュ

昨日に引き続き、明け方に「男と女2」を観る。
これは初見。
「男と女」の20年後という設定で、女は映画制作者に、
男はカー・レーサーを引退して、大好きな息子と
海に船を浮かべて暮らしている。

この船の家が最高!
「ライフ・アクアティック」の潜水艦の船室みたいに、
部屋の窓から海の中が見えて、魚が泳いでたりする。
うっすらと、青く透明な部屋。
いいなー。
で、相変わらず男のほうは、ちょっといい女に
愛情を見せられると、すぐ好きになっちゃうのねー。

というわけで、男のほうは大好きな息子の結婚式で
初めて出会った息子の嫁の妹とつきあい始めるところ
から物語はスタートする。

記録係から映画制作者となった女のほうは、大金を
投じて撮った映画が大コケし、現在つきあい中のテレビ
キャスターからも酷評され、さようなら。
娘は、怖いほど母親そっくりに成長し、女優になっている。

その傍ら、猟奇的な罪を犯し、精神病院に拘束中の
殺人犯が脱獄というか病院から逃走し、更に罪を
重ねていくもようが差し挟まれていく。

で、映画が大コケした女は、ある劇場で男を見かけた
という娘の話からひらめいて、男に連絡をとる。
ドッキドキな男!
が、女が男に20年ぶりに会いたがったのは、
かつての自分たちの恋愛を映画化するための許可を
得るためだった・・・。

って、あらすじを書いていってもしょうがないのですが。

ま、再会したときの、男のことば。
「20年前に、別れてよかったよ。
だって、こうしてまた会えた」

に比して、女のことば。
(「男と女」のラストシーンの、"砂浜で抱きあったところで
ジ・エンドかい?"との男の問い掛けに対して)
「それでは甘すぎるわ」

・・・かくて女は強くなり、小鳥のように胸震わせていた
男は少し傷つく。

この再会のシーンが、好き。
男と女の、時間の経った思い出に触れる指先の感覚の違い、
とでもいうのでしょうか。

なんにしろ、アヌーク・エーメは美人であるがゆえに
迫力が増して、ちょっと怖いくらいになってました。
びっくらびっくら。
大げさに言えば、アダムス・ファミリー的。
でも、監督さすが!と思わせるのは、
男と再会し、だんだん心が近づいていき、また感情が
触れ合うようになるに従って、アヌーク・エーメは
あの素敵に温かく甘い笑顔をちらりほらりと見せる
ようになるのです。

女には、好きな男にしか見せない顔っていうのが
あるのよねー。
などとわかったようなことを言ってみる。
好きじゃないと、そうはならない顔というか。
それよりむしろ、男が、自分にしか見せない女の最高の
顔を深い愛情で引きだす、のかな?

そんな男が、女にとって最高なんだろうなと私は思う。
何年経っても、いくつになっても、ふとした瞬間に、
そんな顔で男を見つめてしまう女でいさせてくれる男、
っていうのが。
とこれまた、偉そうに言ってみる。

さて、余談となりますが、もちろん映画の中では余談
ではありませんが、男の心が女の心へ一直線になった
ことを知った現在の彼女は、んもー、とんでもなく
やっかいなことをしでかすのだが、ほんとにほんとに
こんな女はウンザリで、男はこんな女を甘やかしては
いけないとまで思うのは、自分の中に、"こんな女"の
要素がちらりと見えるからなのかなと思うと、ほんとに
とんでもなくうんざりする。
もしそうなら、そんな要素、埋めとけ、埋めとけ。

だって私は、こんなの愛情じゃないと思う。
こんなのが、愛の深さだとか言われると、ぞっとする。
こういう方法で、私は自分の思いを伝えたくはないな。
だからもしそんな要素があるなら、何があっても
埋めておく。おきたい。

と、話は千々に乱れ、読みにくくなってしまいました。

とにかく「2」ものは、どうなのかな。
というのが正直な感想。
悪くはないけど、なくてもいい。
男が年をとっても相変わらず笑顔がきれいで、歯並びが
チャーミングで、足の動きが美しかったのには、胸躍る
思いがして嬉しかったけど。

これは、きっと監督の「男と女」を撮るに当たってのなんや
かんやとか、その後の作品のなんやかんやとか、映画って
いうものの実験とか実態とか愛情とか苦情とか魔性とか、
そういう映画なんだろうなと思います。

映画の映画なら、私は「81/2」がだーい好き!!