「ブラザース・グリム」byテリー・ギリアム

口、ぽかーんとあけてましたよ、途中で気がついたら。
もう夢中で観てました。おもしろ〜〜〜い!!
まず兄弟の造形と配役がうまいことされていて、私は思いっきり作り手の意図通りにハマったな。つまり、世慣れていなくて繊細で夢見がちな弟グリムに肩入れするってパターン。って、ものすごくいいオトナなので、夢見がちとか世慣れてないとか、ぞっとしちゃうわけですがね、映画の外では。でもほらこれは映画だから、しかも中世のヨーロッパのロマンチックで暗くて恐ろしくて甘美な森が舞台なんですから。

テリー・ギリアムの最新作という以外、前知識はゼロで観たのも大正解!! この映画の仕組みがわかるまでの最初のエピソードでこの作品の世界観によろこんで入っていって、あとはもう、ただただわくわくわくわく。
いいなー、こんなことができるなんて。映画ってすごいな。CGも、こういうCGなら大好きなんだけどな。ラストの弟のトム・ジョーンズみたいな明るい胸の張り方も好きだな。

ほんと、よくできた映画だと思います。細かいところまで工夫がこらされていて、大うそはふんだんにあるんだけど、というかこの映画自体が大うそのファンタジーなわけだけど、小さなウソとかごまかしがない。だから気持ちよくひきこまれていられるんだと思う。

いままでのテリー・ギリアム作品も大好きだったけど、こんなに明快でシンプルで凝っているっていうのもまたいいな。たぶん、よく言われてきた"わからないところ"が今回はないんじゃないかな。

途中で、「風の谷のナウシカ」的な展開になるのかとお腹の底のほうがうっすらとひんやりしたけれど、そんなこともなく。森対人間の対決でもなく、自然対人間の対決でもなく。もっと"ヨーロッパな空"な感じ。

難点というか、どうしても違和感を持っちゃったのが、ドイツ人もフランス人もイタリア人も英語を話してるってことかな。そこをドイツ語やフランス語にしても、中世のことばといまのことばじゃ違うから、どっちにしろウソだから全部英語で、ってことなのかな。一応、ハリウッド映画だからなのかな。そこは監督、闘うところじゃないって感じなのかな。なのかななのかな。

久しぶりに、このままもう一回、続けて観ちゃうおかな〜と思いました。